佐賀県のとある小さなまちの取り組み

柳町について

  1. 01 柳町について
  2. 02 柳町のチーム

柳町で商う人々

  1. 仕事ってなんだ?
  2. 01 ものづくりカフェ こねくり家
  3. 02 ハレノヒ柳町フォトスタジオ / 笠原 徹
  4. 03 和紅茶専門店 紅葉 / 岡本 啓
  5. 04 鍋島緞通 織ものがたり / 木下 真
  6. 05 megumi / 森 恵美
  7. 06 minade / 江口 昌紀
  8. 07 よそほひ処 二葉 / 荒川 国子
  9. 08 ステンドグラス工房 グラスパレット / 西村 尚子
  10. 09 くみひも屋 絆 / 池田 ノリ
  11. 10 ブルームーン / 江副 由美子

建築リノベーションとしての柳町

  1. 01 建築資源活用の柳町においてのポイント
  2. 02 建物 改修前、改修後。リノベーションってなんだ?
  3. 03 OpenAの柳町に対する考え方 / 馬場正尊
  4. 04 OpenA 鈴木みのりによる建築的な森永家・久富家
  5. 05 佐賀市役所の仕掛け / 都市デザイン課 武藤英海
  6. 06 古賀銀行 / 音楽イベント、カフェとしての文化財活用

柳町についてAbout YANAGIMACHI

  1. 01 柳町について
  2. 02 柳町のチーム

柳町について

表飄々、裏どっしり。
噛めば噛むほど味がでる柳町。

僕は佐賀県小城市出身なのですが、この柳町という場所を知りませんでした。歴史にも疎く、自分達の住んでいる町が魅力的なのかどうなのかなんて、青空の下、泥だらけになってサッカーばかりやっていた学生の時は考えもしませんでした。しかし、自分達の町、住む人々、商いをする人々をもう一度しっかりと考察していくと、やはりというか、実に面白いものです。小さな八百屋であっても、昔ながらの商店であっても、おしゃれなカフェであっても、数百年続く鍋島緞通の工房であっても。仕事とはそれぞれの人生が詰まっています。その想いや内に秘めた情熱のようなものを、今回は佐賀県佐賀市の長崎街道に位置する柳町という、かなり小さなエリアを解剖するという取り組みを行いました。正直な話をここに記すと、はじめて柳町を訪れた時、そこまで面白い町だなとは思いませんでした。行政が整備をし器をつくって、そこへ商いをする方々が入ってこつこつと活動をしている。そのくらいに考えていました。

しかし!何回かこの土地を訪れて中の方々にお話を伺っていると非常に面白い。IT企業が経営するものづくりカフェ(僕は「会いに行ける技術者」がいるカフェと呼んでいる)があったり、小さな写真館から世界平和を目指すことを目標とする方がいたり、現在とても人気がある和紅茶の伝道師のような方がいたり、リノベーションに携わったOpenAの馬場正尊さんも佐賀出身だったり、熱い方ばかりです。外身はなんてことない普通の人間の皮を被った、内にメラメラと何か欲求不満というか、実現欲求というか、そういう熱い何かを秘めた方々です。毎回この地を訪れて話を伺う度に、各々のまとまりのない情熱の火玉をボンボンとぶつけられ「あー、この情熱や活動をしっかりとみなさんにお伝えする必要があるな。」と感じはじめ、この本をつくることを決意しました。もともと、このエリアは長崎街道の中の町人・商人街に位置しています。現在和紅茶専門店の紅葉さん、鍋島緞通の織ものがたりさんが入っている旧森永家、シェアオフィス・インキュベーション施設的な使われ方をしている旧久富家など古い町家が残るエリアです。栄えていた時代は表の長崎街道で商いをし、裏にある裏十間川が物流の流通機能として使われていたと聞きます。歴史ある町並みをしっかり活用しようと佐賀市や県が数十年前から調査をはじめ、建物をリノベーションし、現在入居している方々が商いをはじめたのが2015年2月。まだまだ新しい町ではありますが、この仕掛けと仕組みは他の土地の方々や、地方都市で商いをされている方、今から商いをはじめようという方、様々な方にとって参考になると思います。観光という言葉の語源は『易経』の「観国之光、利用賓于王(国の光を観る。用て王に賓たるに利し)」との一節によると言われています。国の光を観る。今こそ消費される観光ではなく、しっかりと過去の土地の文化や歴史をひも解きながら、現代にも活かし、光を見いだして未来につなげていくということが必要だと感じています。この本が、町の全容を知ってもらう新しいカタチの観光本としても、2016年現在の柳町の姿を記録する民俗学的な意味でも、役に立つ一冊になれば良いなと考えています。ではでは、ごゆっくりご覧下さい。